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特集:《ファルスタッフ》のフェントンのその後 [ファルスタッフ]

 ヴェルディの《ファルスタッフ》には、テノールは3人、カイウス医師、ファルスタッフの従者のバルドルフォ、若者フェントンです。カイウスとバルドルフォはいわゆる芸達者な性格テノールの役ですが、フェントンは、ナンネッタの恋人で、恋に恋しているような若者ですから、今後が楽しみな若いテノールが歌う役なんです。
 お話でのフェントンのその後は、末永くナンネッタと幸せに暮らしたと思いますが、フェントン役の歌手はどうでしょうか。
 今までライモンディと共演したフェントン歌手のその後はどうでしょうか。主役をはれる歌手に成長しているのでしょうか。ライモンディ主演の《ファルスタッフ》のフェントン役、いろいろですが、まず、今回のフィレンツェ引越し公演のフェントンからみてみましょうか。
右の写真は2005年チューリヒ、ヨナス.カウフマンのフェントン → →

ダニール・シュトーダ:1977年生まれのロシア人歌手
経歴をみるとサラブレッドのようです。ロシア国内でのコンクールの数々に優勝、2000年には、ドミンゴのOperalia で優勝(2位)、世界の主要歌劇場、音楽祭で活躍、すでに、EMIからリサイタルのソロアルバム、ロシアのレーベルDelos Recordsから、ロシアオペラアリア集もリリースされています。ドイツグラモフォンのアバド指揮の《ファルスタッフ》、ターフェルとハンプソンかな、でフェントンを歌っています。
実際に見て聴いてどうだったかですが、フェントンには向いていないと思いました。フィレンツェのプレミエでも、失望(期待されていたということですね)したとか、発声が曖昧、粘り過ぎ、役柄に合わない等の評が目につきました。経歴からみても、実力があるのは間違いないでしょうから、今後が楽しみ。
それでは、その他のフェントン、古い順で、ざーっとひと言コメントでいきます。

ロバート・ギャンビル:1955年、アメリカ
1986年、31歳でフェントン、ながーい髪のカツラで、バーバラ・ボニーのナンネッタとお似合いのなかなかすてきなフェントンでした。ところが、1999年に、突如ワーグナー歌手(タンホイザー)として変身します。なぜか、フェントンとかリンドーロ(アルジェのイタリア女)を歌っていた過去は、語りたくないようです。フェントンからワーグナーは珍しいパターンですが、アメリカ人ならではでしょう。

フアン・ディエゴ・フローレス:1973.1.13 - ペルー出身
1996年、ロッシーニ・フェスティヴァルでデビュー。
1997年、デビュー間もない、若干24歳、ニース歌劇場でフェントンを歌いました。
その後のロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティを中心とするレパートリーでの輝かしい歌唱は、世界の歌劇場で引っ張りだこ、日本にもファンが多い。

マルセロ・アルバレス:1962.2.27- アルゼンチン
30歳過ぎて、オペラ歌手を目指し、1995年頃の遅いデビューです。
1998年、ベルリン国立歌劇場、36歳でフェントン、ナンネッタはドロテア・レシュマン。関連記事
今では、更にレパートリーを広げ、マンリーコ、カヴァラドッシも歌う、主役を張る歌手に成長。今からみると、大物コンビですね。

アントニーノ・シラグーザ:1964年、シチリア、メッシーナ生まれ
1992年ベッリーニ劇場の合唱団員となり、1996年ジュゼッペ・ディ・ステファノ国際コンクールで優勝して、オペラ・デビュー、1999年、ジェノヴァでフェントンを歌いました。35歳ということですね。現在は、主要歌劇場でロッシーニ、ドニゼッティのベルカントもので活躍、日本にもファンが多い。

マッシモ・ジョルダーノ:イタリア出身
トリエステ音楽院をフルートで卒業後、声楽を学ぶ。1996年、《ティートの慈悲》のタイトルロールでオペラデビュー。
2001年、ザルツブルグ音楽祭でフェントン役、ナンネッタはドロテア・レシュマン。2002年には、《椿姫》のアルフレードで新国に出演。2007年には、ミラノ・スカラ座でもアルフレードを歌う予定。

ヨーナス・カウフマン:1969年ミュンヘン生まれ
1993年、マイスタージンガーの小さい役でデビュー、1999年ザルツブルグ音楽祭に出演、2005年チューリッヒ歌劇場でフェントン役、2006年にはNYメトで、《椿姫》のアルフレードを歌った。チューリッヒ歌劇場の出演が多く、バルトリの《ニーナ》でも共演しており、DVDが発売されている。

関連記事:Tutti gabbati《ファルスタッフ》フィレンツェ5月音楽祭来日公演
2回目《ファルスタッフ》フィレンツェ5月音楽祭来日公演

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Bowles

シュトーダ、私には、デビューしたころがいちばん良くて、それ以降下り坂のように思えます。
by Bowles (2006-09-21 12:09) 

keyaki

Bowles さんがご存知ということは有望な若手ということですよね。
もう下り坂ですか、スランプだと思いたいですね。
5月にネットで聴いた時に、???だったのですが、生舞台でも、一人だけ声が奥に引っ込んでました。
by keyaki (2006-09-21 23:40) 

Sardanapalus

シュトーダは見目麗しいですね。今まで名前も知りませんでしたけど、凄い経歴。ですが、この音源で聞く限り確かにフェントンのイメージの声ではないかも…。ネモリーノとかはどうでしょう?

>その他のフェントン
ギャンビルは、去年聴いたタンホイザーの声からすると、若い頃のキャリアと全く繋がらないんですけどね(^_^;)ああ、マルちゃんの変身前の写真がカッコイイ…。
by Sardanapalus (2006-09-21 23:42) 

keyaki

Sardanapalus さん
>今まで名前も知りませんでし
私もお初なんですけど、コヴェントガーデンとか出てませんでしたか。

>見目麗しい
へへへ、、いい写真を選んだんですよ。実際には、なんていうか、あか抜けない、田舎のあんちゃんというかんじかな。よく言えば、素朴。けっこう日本人っぽいんですよ。

>ギャンビル
髪の毛のある写真を選びました。
ギャンビルも、人材不足のワーグナーに方向転換したのは、今のところ、よかったといえますね。あのままロッシーニとか歌っていたら、どうなっていたか、、、、
by keyaki (2006-09-22 00:07) 

助六

フェントンって、確かにまだ声楽的アイデンティティのはっきりしない若いテノールが歌うことが多いようですね。舞台上演思い起こしてみても、ナンネッタは覚えていても、フェントンは誰だったか一向に思い出せない上演が殆どです。知名度がまだ低い人のことが多いし、歌の特徴も印象深いものは少ない感じ。ディスクでも思いつくのは、アルヴァ、クラウス、アライサ位で、「フェントン歌い」を看板にしてた歌い手さんなど多分存在しませんよね。
ギャンビルがロッシーニ歌いだったのには驚きましたが、フェントンからヴァーグナーまで行った例は、上記アライサの他ザイフェルトもそうだし、カウフマンもヴァーグナー歌い始めてて、結構いそうですね。、ウィンベルイなんかも初期に歌ってたかも。

シュトーダの名を始めて知ったのは02年7月エクスの「オネーギン」でしたけど、TV音声でちょっと聴いただけですが、別に可も不可もなしという感じでした。ただその数ヵ月後02年11月の「モーツァルトとサリエーリ」や、03年1月のキーロフのシャトレ客演時の「オネーギン」では実に端正でスタイリッシュな歌唱を聴かせてくれ、短期間の目覚しい進境ぶりに驚き、これはイタリアものだってイケるかもとさえ思わされました。という訳で、05年12月のキーロフ・シャトレ客演「ランスへの旅」は、どうせコサック・ダンスのロッシーニならせめてシュトーダで聴こうと、彼の歌う晩を選んでみましたが、これがまるでスラヴっぽい篭り発声、旋律的造形欠如で文字通り「完全沈没」の体、残念でした。
それにしても、この「見目麗しい」写真、修整なしですかね?舞台で見るとまるでアジア的風貌で、私はロシア人とは言ってもキルギス・タジクとか中央アジア系だろうと思ってました。

フローレスは私はフェントンで初めて聴きました。01年4月、シャトレでガーディナー指揮のピリオド楽器演奏でしたが、スタイル観は充分あるものの、声はまるでヤワ、旋律線もところどころ刃がこぼれるように窪んでしまう出来でした。その後の成長には文字通り眼を見張らされます。上り坂の若い歌い手さんは、本当に短期で見違えるように変貌することも多いけれど、何かの拍子にいきなり沈没もあるみたいで、イヤ大変なお商売ですね。ご苦労様です。
by 助六 (2006-09-22 06:03) 

ヴァランシエンヌ

助六さん:

>02年11月の「モーツァルトとサリエーリ」

これって、パリの上演でしょうか?その時のサリエーリって、何方かご記憶にありませんか?

この頃のこの演目の上演については、私も関心がありまして、密かに調べているんですけど、パリのサイトには記録が残っていない(私の探し方に問題があるのかもですが)ので、もしご記憶にあるようでしたら、教えて頂けると嬉しいです。

keyakiさん、全然違う話題でお借りしちゃって、ごめんなさい(^^;
by ヴァランシエンヌ (2006-09-22 21:55) 

助六

>ヴァランシエンヌさん、

さすが嗅覚が鋭いですね。「ドン・ジョヴァンニ」に、「おい、女の匂いがするみたいだぞ…。Zitto, mi pare sentire odor di femmina...」という台詞があるけどね(笑)。

プログラム引っ張り出してみたら、

02年11月5日
パリ・シャトレ劇場
スピヴァコフ指揮ロシア国立管
モーツァルト D・シュトーダ
サリエーリ ヴィノさん

でした。
恐れ入りましたッ。

そうそう思い出してきました。名前も知らなかったけど、若いバスが、スラヴっぽい重量級バスという感じじゃなくて、柔らかな声で品のある歌を歌っていました。
シュトーダ共々ロシアっぽいドロ臭さのない、モーツァルトとサリエーリに相応しい端正な歌唱だったので、ちょっと意外に思ったものです。スピヴァコフはやっぱりロシアっぽかったけど。まあリムスキー=コルサコフですしね。
by 助六 (2006-09-23 06:51) 

keyaki

ありゃ、ヴィノ君と二人で主役張ってたんですか。
ということは、やっぱりお友達なんですね。
年も一才違いなんで、絶対に知り合いだとおもってました。なんと共演しているとは.....
シュトーダ君はテノールのせいか派手に活躍してますね。

>ロシアっぽいドロ臭さのない
それそれ、ファルスタッフでは、ロシアっぽいドロ臭さがいっぱいでしたけど、洗練されたイタリアっぽい人達に取り囲まれていたせいかしら。
イタリアのオペラ雑誌の6月号の表紙に写ってますけど、日本の演歌歌手のようなかんじもしますね。
by keyaki (2006-09-23 08:11) 

ヴァラリン

うひゃ。瓢箪から駒だわ(笑)
助六さん、プログラム引っ張り出して確認して下さって、ありがとうございます(^^!

keyakiさんがシュトーダ君のことを取り上げて下さったお陰です。
続きは我が家で改めて取り上げますね。場所提供、ありがとうございました。
by ヴァラリン (2006-09-23 10:50) 

ヴァラリン

>続き
作りました。こちらの記事リンクさせて頂いてます。どうも、ありがとうございました。URL欄に該当記事のアドレスを入力しておきました。

シュトーダ君のエージェント(同じエージェントです^^;)での写真を見てきましたが、keyakiさんの探し出した「見目麗しき」お写真とは、まるで別人?^^;
ホントに
>キルギス・タジクとか中央アジア系
っぽいかも。サンクトペテルブルグ出身なんですね。

>テノールのせいか派手に活躍してますね。
テノールは若いうちが鼻…じゃなくって華ということでしょうかね。
でも、こうやって小さい情報でもキャッチできれば、ファン冥利に尽きるってもんですわ!^^!
by ヴァラリン (2006-09-23 17:29) 

Sardanapalus

ヴァラリンさんのとこでシュトーダ君のエージェントのページの写真を見たのですが、keyakiさんのアップしてくださった写真の人物と同じ人には思えませんでした…(^_^;)実際はかなりモンゴロイド系の血が入っていそうですね。
by Sardanapalus (2006-09-24 02:25) 

Bowles

ヴァラリンさん、良かったですね!

シュトーダ、初めて来日したのは2002年。その時はリサイタルでも歌いました。当時は「シトダ」あるいは「シトーダ」って言っていましたが。

http://www.mariinsky.ru/en/akademia/shtoda

上記のページによると、Honoured Artist of the Republic of Alania とありますから、サンクト・ペテルブルグ生まれではあっても、多分ゲルギエフもそうであるようにオセチア=アラニア共和国の少数民族の出自ではと思います。

なおシラグーザの年齢ですが、彼はデビューが結構遅めだったので、現在40歳になるかならないか程度だと思います。
by Bowles (2006-09-24 03:51) 

keyaki

ねぇ、ねぇ、Sardanapalusさんは、シュトーダ君知ってるはずなんだけどなぁ。
ハムレットのDVDで、オフェーリアの弟じゃない、お兄ちゃん役ででているようですよ。
私のアップした写真は、多分十代じゃないかな、キリリとして頭もよさそうにみえるし、ホロストフスキーの弟に見えなくもないでしょ。
by keyaki (2006-09-24 08:41) 

keyaki

Bowlesさん、どうやら、ゲルギエフのひきがあるようなかんじですね。ゲルギエフのお姉さん?か妹が、よくピアノ伴奏しているようですし。
オペラ歌手は、実力があってその上人脈があれば、鬼に金棒、ライモンディにしても、モリナーリ・プラデッリの存在は大きいですものね。

しかし、シュトーダは、《ファルスタッフ》で一人浮いていたので、注目しちゃったんですけど、結果的にヴァラリンさんのお役に立てるとは........です。(笑

シラグーザですけど、変な書き方だったので、ちょっと直しましたが、1999年にフェントンを歌った時は、30ちょいか、29歳くらいかな、と計算したんですけど、Bowlesさんの計算とだいたい同じということですよね。
生年月日なんてどうでもいいようなものですが、これだけ活躍していてぜんぜんわからないってのも、??
by keyaki (2006-09-24 09:02) 

Bowles

シラグーザの生年ですが、1964年。現在42歳ということですね。

シュトーダの伴奏はデビュー・アルバムの時からゲルギーのお姉さん。来日時のリサイタルもそうでした。彼はちょっとむずかしいところにさしかかっていますね。ロシア物に限定していれば問題はないんだろうけれど...。
by Bowles (2006-09-24 15:33) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>ハムレットのDVDで、オフェーリアの弟じゃない、お兄ちゃん役
えええええええ~~~~!?全然顔が違いますけど???
でも…そうだ、思い出しました。レアルテ(レアティーズ)役はストーダという名前だった。う~ん、う~ん、ということは、この10代の写真は写りが良すぎるかも(笑)ちなみに、ハムレットのDVDでのストーダ君は真摯だけど、かなりもっさりした印象でした。
by Sardanapalus (2006-09-24 19:25) 

euridice

>かなりもっさりした印象
フェントンもそうでした(^^;
by euridice (2006-09-24 21:40) 

ヴァラリン

わぁ。さらに激しく盛り上がってますね(^^;
私一人、話題の蚊帳の外の違うところで、ウキウキ、ルンルン♪ってほくそえんでいる感じですけど、もっさりしたフェントンには、感謝、感謝ですわ(^^!
本当に、ありがとうございます~♪♪♪
by ヴァラリン (2006-09-24 22:55) 

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