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マスネの「マノン」:最終場面のマノンの死を前にしたデ・グリュー(=グリゴーロ)の悲痛な叫び [オペラの話題]

 今、メトではダムラウ&グリゴーロの「マノン」上演中。かなりいいと、数年前のネトレプコ&ベチャワ組を凌駕するできだとも。最終場面のマノンの死を前にしたデ・グリューの叫び声も話題になっています。
 他のテノールさんたち(アラーニャ、アルバレス、ビリャソン、ベチャワ)のデ・グリューは、どうなのかというと、

1、無言(アラーニャ、アルバレス)
2、"No!No!"(ビリャソン) 
3、あ〜は〜と泣く(ベチャワ)

 グリゴーロのデ・グリューは盛大に叫びます。グリゴーロのオリジナルだと思います。2010年のROHでは2秒くらい、今回のメトはかなり長いので、叫ぶというよりは、遠吠えかな....初日の3月9日は6秒くらい、21日は10秒くらい、進化してます。28日の最終日には、音楽が終わるまでのばしちゃうかも。どんなものか最後の部分だけの動画を作ってみました。最初はROH 2010.7.10、2番目はメト2015.3.9、3番目はメト2015.3.21のライブから。

ビデオにリンク

 指揮者と相談してやってるんだと思いますが、ROHのアントニオ・パッパーノは叫び終わるのを待っています。メトのエマニュエル・ヴィヨームは、叫ぶのに音楽をかぶせてます。

 「傷ついた動物の遠吠え」というように述べているレビューもありましたが、いいタイミングで、この部分についての感想を見つけました....
Au finale, quand Manon meurt enfin dans les bras de Des Grieux, Grigolo a laissé exploser toute la tension et la douleur accumulées pendant les cinq actes dans un cri effrayant, effrayant surtout car ce cri n’était pas chanté mais hurlé, ce qui techniquement pour un chanteur est fort difficile à réaliser et qui montre à quel point le ténor italien est maintenant serein sur cette scène du Met qu’il parait tant aimer. Alors que le rideau se baissait, le public restait stupéfié de ce cri. Tous deux furent ovationnés comme il se devait. (At the end of the opera, when Manon dies in Des Grieux’s arms, all the tension and pain accumulated came out in a frightening cry from Grigolo, the fright coming from the fact that this cry was shouted and not sung, which is a pretty risky thing to do and shows how technically fearless Vittorio Grigolo has become. As the curtain went down, the audience was stunned. Both got a well deserved standing ovation.)
記事全文は→Manon at the Metropolitan Opera, New York / Thibault Courtois

関連記事:
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オペラ歌手のギャラ( 2014年記事より: トップクラス=1万7000€) ☆ イタリアの劇場の最高額ギャラと遅配(2015.3.11) [オペラの話題]

◎月刊誌 Classic Voiceがイタリアの劇場で支払われているアーティストの最高額を公開、更にイタリア国内ほとんどの劇場で支払いの遅延が常態化しているという記事です。下記のフランス・フィガロ紙の記事にはイタリアが抜けているような感じだったので、追記します。
 Classic Voice誌の記事はネットで読めませんが、Corriere della Seraに「I cachet della lirica オペラのギャラ」という見出しで紹介されています。さらにGramilanoに英語の要約で “How much are singers, conductors and directors paid?”が掲載されています。

 簡単にまとめてみますと....
・コンサートの最高額3万€
 Barenboim, Chailly, Whun Chung, Dudamel, Gatti, Harding, Mehta, Muti, Rattle, Thielemann? とかの指揮者
 Pollini, Lang Lang, Radu Lupu, Kavakos, Sokolovとかのソリスト
・オペラ歌手の最高額、コンサート2万€、オペラ1公演1万7千€
 Bartoli, Domingo, Renée Fleming, Elina Garanca, Kaufmann, Florezとか
・演出家の最高額6万€
  Robert Carsen, Calixto Bieito, Peter Stein, Bob Wilson, Graham Vick, Damiano Michielettoとか
・ギャラの支払い
 la Scala di Milano, Santa Cecilia a Roma, la Fenice di Venezia, il Massimo di Palermo以外は要注意、いつ支払ってもらえるかわからない。
◎ブラックリストの劇場:カリアリ(3年)、ジェノヴァ(1年)、フィレンツェ(9ヶ月)、ローマ(7〜9ヶ月)、ボローニャ(60 〜90日) 手形みたいなものなのか、カリアリの場合は現金化するのに平均3年かかるそうです。どの劇場かは明かしていませんが、バスバリトンのアンドレア・コンチェッティは、数年前のドン・ジョヴァンニのギャラをまだ全額もらってないそうです。まあ、これはオペラだけでなくどこの世界にもあることですけどね。アンドレア・コンチェッティは新国でレポレッロやってます.....新国は金払いいいとおもうよ。(2015.3.13)
*  *  *  *  *  *

 オペラ歌手の契約とかギャラについての記事が、フランス・フィガロ紙(11/21付け)とイギリスのテレグラフ(11/3付け)に掲載されました。
 フィガロ紙の記事はパリ在住の助六さんが要約をコメント欄に書いて下さいました。筆者のクリスチアン・メルランは本職は大学の独文教師で、批評家としても音楽ジャーナリストとしてもフランスで一番まともな部類という印象の方だそうです。
 テレグラフのルパート・クリスチャンセンは、オペラのレビューでお馴染みの方で、ヴィットリオ・グリゴーロについては、いつもなにか一言言いたいようですが、まあ、それだけ期待して鑑賞して下さってるってことでしょう。直近のROHの「愛の妙薬」は、めずらしくほめてました。そういえば、仮面舞踏会のカレイヤを「テディー・ベア」って言ってたな......グリゴーロは「子犬」ってよく言われますけど。

・ Le Figaro:Le casse-tête d'un casting de rêve 助六さんの要約:マルセロ・アルバレス(ラダメス・ロールデビュー)のインタビュー(2010.4.23):オペラ歌手のギャラについても一言...のコメント欄

・the telegraph:How much do opera stars get paid?

フィガロの記事の要約を更にまとめてみました。

・現在のトップフィーは1公演1万7000€程度。[2009年発表の「トップ・フィー」は1万5000€。中堅クラスは、5000-1万2000ユーロ€、端役は1000€以下]

・トップフィーは劇場により差がある。最高ギャラはヴィーンとロンドンでは同額だが、ミュンヘンではそれより4000€、チューリッヒでは1万€高い、フランスの地方劇場ボルドーの最高ギャラは1万€だが、それが適用されるのは1シーズン1~2回のみ

・独オペラ劇場会議はギャラ最高額を決めており、メト、ロンドン、パリはギャラ一覧表を定期的に交換している。だいたい良識が守られているが、ミュンヘンなどはギャラをつり上げているとの噂がある。

・メト(トップはおそらく1万6000$)は、経費削減のためスター歌手にギャラ7%引き下げを依頼
  (ネトレプコが了承したという記事をちらっと見た記憶が...)

・歌手の平均ギャラとトップフィーの差は1対3
 (ということは平均ギャラは5700€くらいかな)

・源泉徴収の税率は、スイスでは15%、独では40%
 (税金と言えば、カバリエが脱税で服役か罰金かってことになっているようです....昔はパヴァロッティが有名だった...カバリエは罰金を支払うことになったようです)

・新演出の場合、歌手はリハーサルで1カ月、上演で2~3週間、計約2カ月間拘束される。一般的にリハーサルにはお金は出ないし、滞在費も支給されない。
 (ニューヨークではギャラはほとんど経費で消えちゃう...アラーニャ談)
 (40%は税金にもっていかれるし、エージェントの手数料、ホテル代、アパートメントの家賃の高騰で、手元にはほとんど残らない....M.アルバレス談)

・歌手にとってはオペラ公演よりリサイタルの方が実入りがよい。
 (これはいつも言われていることですね.....一晩3万€から20万€といわれている。リサイタルを目一杯組んでいるのはヨナス・カウフマンくらいでしょ、かつてはビリャソンがいましたが、これもオペラ歌手としての人気がないとできないわけですけど)

・ギャラは名声だけでなく、特定種の声に関する需給関係でも吊り上がる。ジークフリートを歌えるワーグナー歌手は僅かなため、無名でもギャラをつり上げるのは容易。

・フランスにはないがドイツ・オーストリアの座付歌手の場合はギャラは月給の形で支払われるが、独立ソロ歌手のギャラよりずっと低額

・スター歌手を引きつけるには、ギャラに加え、芸術的内容が重要。エージェントでなく、歌手と直接相談している。

 テレグラフによれば1960年代オペラ歌手全盛時代は1公演5万ポンドの大スターもいたそうです。あっというまの円安で、円換算しても意味がないですが、一応参考にレートを....1€=146円、1$=120円、1ポンド=187円

関連記事:
2000万円のオペラ歌手......って何のこと?
マルセロ・アルバレス(ラダメス・ロールデビュー)のインタビュー(2010.4.23):オペラ歌手のギャラについても一言...
オペラ歌手「使い捨て」? 自己責任?(朝日新聞記事に関連して2007.9.8夕)
ニューヨーク・タイムズにヴィットリオ・グリゴーロの(センセーショナルな)紹介記事(2010.10.14)

ヨナス・カウフマン プライヴェートな理由で6月12〜23日のスカラ座「カヴァレリア」出演取り消し(2015.3.5発表) [オペラの話題]

 今日、ヨナス・カウフマンがスカラ座のカヴァレリアの出演を取り消したことを発表しました。代役は3月5日現在まだ決まっていません。「この時期、家族のそばに居る必要があるという個人的な理由だが、我々は最終的に容認した」そうです。劇場側も納得するような理由なんだと思いますが、だったら、6月7日にソウルのコンサートを追加したのがちょっと解せませんけどね。

Scala, forfait Kaufmann

 更に劇場側の発表によれば、嬉しいお知らせとして、代わりに6月14日(日)にヨナス・カウフマンのオペラ・アリアのコンサート(Jochen Rieder指揮)を開くそうです。

 新国のマイケル・ファビアーノの「芸術上の理由」より腑に落ちますが、「家族のそばに居る必要がある」って気になりますね.....お目出度いこととしては、誰かの結婚、カウフマンの長女って15、6でまだ結婚ってことはないですけど....それとも家族のどなたかが病気だとか(昔、ゲオルギューが娘(姪)が手術するからそばに居てやりたい...とかでキャンセルしたことがある)

 とにかくカウフマンのスケジュールは過密!
◎1月からのスケジュール
1月4日:Wigmore Hall:リサイタル
1月20,23,26,29,31/2月3,6日 ロンドン:アンドレア・シェニエ
2月27日 ローマ/アイーダ(CD録音のため) 17日以前にローマ入り
3月 4 , 7日 メト:カルメン 4日体調不良キャンセル
3月28, 4月6日 ザルツブルグ:Cav/Pag
3月31, 4月3日 ザルツブルグ:ヴェルディのレクイエム
4月15,17,19,22,24,26日 ドイツ国内リサイタル・ツァー
5月4,7,10日 ミュンヘン:運命の力
5月14,16,15,20日 ドイツ国内リサイタル・ツァー
5月23日 シャンゼリゼ:リサイタル
5月30, 6月1,4日 日本リサイタル・ツァー
6月7日 ソウル:コンサート (最近追加)
6月12,15,17,20,23日 スカラ座:カヴァレリア 個人的理由で全公演出演取り消し
6月14日 キャンセルお詫びコンサート
6月27日 ミュンヘン:コンサート

 しかし、6月7日がソウルで、カヴァレリアの初日が12日って、新演出のオペラに出演するのはあり得ないことなので、恐らく、カウフマンとしては日本公演を5月末から6月に持って来た時からスカラ座はキャンセルするつもりだったと思います。スカラ座の発表でもシーズンのはじめにカウフマンから降りたいって言われてた....と書いて有りますし、こういう場合、劇場としては本人の気が変わるのをギリギリまで待つってことなのかな.....ペレイラ氏とは長年の付き合いでツーカーの間柄でしょうから、降板理由も適当に考えたのかも。ま、オペラでキャストを重視する場合は、少なくとも本人サイドの発表があるまで信用できないってことです。

スカラ座発表:Cavalleria rusticana
Jonas Kaufmann rinuncia a Cavalleria ma canta in concerto alla Scala
All’inizio della stagione in corso Jonas Kaufmann ha chiesto al Teatro alla Scala di poter rinunciare alle recite di Cavalleria rusticana programmate per giugno 2015.
Tale richiesta si basava sulla necessità per Jonas Kaufmann di restare, in quel periodo, vicino alla sua famiglia: una motivazione privata che abbiamo infine accolto.
Abbiamo cercato di trovare un’alternativa per garantire la presenza dell’artista alla Scala.
Siamo quindi lieti di poter annunciare Jonas Kaufmann in un concerto di arie d’opera con la Filarmonica della Scala diretta da Jochen Rieder domenica 14 giugno 2015 alle ore 20. Il programma sarà comunicato a breve.


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