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ビルバオ(2)カップチッリとライモンディ [ L.Magiera著:RR]

2006-03-14の記事の続きです。
レオーネ・マジエラは、オペラの指揮のためにビルバオに向かいます。なんとそこでR.ライモンディが、彼の指揮で《ナブッコ》のザッカリアを歌うことになっていて思いがけず再会することができたのです。
ナブッコは、先輩のピエロ・カップチッリでした。
カップチッリ(1929 11.9- 2005.7.11)については、2005-07-12の記事:訃報、Piero Cappuccilli が亡くなりました・・・ .をご覧ください。
(私=レオーネ・マジエラ、1969年9月のことですからR.ライモンディ27才、マジエラ33才。マジエラの妻はミレッラ・フレーニ)

翌朝、ホールでルッジェーロに会った。
公演を企画した興行主のバロージは、私たちの再会の情愛を込めた抱擁を見つけるといきなり割り込んできた。私は彼に「私達は、お互いに話し合うことがたくさんあると思いますよ。」と、隣接しているリハーサルのホールに向かって歩きながら言った。「もちろんです。リハーサルの後、ご一緒に夕食いかがですか?」私は喜んで賛同した。

私達は何時間もリハーサルをしたのだが、ルッジェーロのレパートリーの選択は大胆かつ危険ではないのかと私をしつこく悩ませた懸念と疑問は、彼のまばゆいばかりの声の表現形式によって、杞憂に終わったと白状しなければならない。
ザッカリアは、バスの声域のための、最も骨の折れる役の一つである。実際にザッカリア登場のアリア”Sperate o figli” は、初期ヴェルディの特徴的な最も難しい音声の跳躍を提示している。そして、カンタービレで優美な”D'Egitto la sui lidi” は、決して息(呼吸)をさせない連続した穏やかなゆったりした旋律のため、横隔膜に非常に負担をかける。
(参考:右のビデオクリップは1979年パリオペラ座公演のもので、ザッカリア登場のアリアです)
ルッジェーロは、レチタティーヴォにおいて最も確実に、オルガンのような耳に心地よい調和のとれた響きでメロディーをつないだ。年長の兄(12歳年上)のような心づかいで彼を見守っていたピエロ・カップチッリは,アリアの最後に合意のサインを充分な身振りで示した。
私は、多分彼らの関係は友情からプロフェッショナルな領域にまで広がっていることに気づいた。なぜならば、ルッジェーロは度々ピエロに、いくつかの音の発声の美しさに関して確認した。
「私達は、仲間の中に素晴しいマエストロがいるという幸運に恵まれています!」と私はカップチッリのことを言った。
このトリエステ出身のバリトンは、すさまじい声楽的技術に精通していた。彼の息(呼吸)は、悪乗りして時々非常識ともいえるような限界までのばしたりしたが、ギネスブックの最高記録かどうかはともかくとして、とにかく信じられないような長さを保った。
時に、5から6フレーズの間をスラーでつないだりした。もちろん音楽面では、議論の余地のある行為であるが、テクニックの面からいえば驚くべきことである。
ルッジェーロの息(呼吸)のテクニックは、親友のカップチッリのそれより劣ってはいなかった。その相違点は、ルッジェーロは、自己陶酔型のちょっとナルシストのカップチッリを時々気ままにさせたスタイル、そういう小さな脱線に、決して陥らなかったことだ。

オペラの初日は、途方もない大成功をおさめた。批評は、ザッカリアナブッコに言及しながら、非凡な才能の持ち主二人の勇壮な競演として論じた。デ・オズマは威厳のあるアビガイッレの輪郭を描いた。一方、イズマエレの小さい役でデビューした地元のテノールは、最初はパニックに陥って哀れっぽいうんざりするような一連の音を出したが、そのことは観客の気分を害するほどではなく、結局、二人の恐るべき主役によって熱狂の絶頂に到達した。
ー続くー      レオーネ・マジエラ著《ルッジェーロ・ライモンディ》より
レオーネ・マジエラ著《ルッジェーロ・ライモンディ》について紹介した全記事はこちら

ビルバオでの公演
http://www.abao.org/ingles/index.html
1966年9月
(24歳)
運命の力
(グァルディアーノ神父)
Wolf-Ferrari指揮
Cecchele,Zanasi,Capecchi,Dara
フィガロの結婚
(フィガロ?)
Wolf-Ferrari指揮
Capecchi,Dara ホントニフィガロヲウタッタノカ?
1968年9月
(26歳)
エルナーニ
(シルヴァ)
Wolf-Ferrari指揮
ジェンチェル、チェッケレ、タッデイ
シモン・ボッカネグラ
(フィエスコ)
Wolf-Ferrari指揮
ジェンチェル、チェッケレ、タッデイ
1969年9月
(27歳)
ナブッコ
(ザッカリア)
マジエラ指揮
カップチッリ、De Osma,Pecile
ファウスト
(メフィストフェレ)
Belardinelli指揮
クラウス、フレーニ


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ヴァラリン

イタリアの歌手さんたちは、いろんなところで繋がっているのが面白いですね(^^;

本題と関係ないんですけど、パリの来シーズンスケジュールが発表されましたね。RR氏、10月から11月にかけて、再びアルフォンゾですね(^^!
今度のデスピーナは、マクローリンですね(^^! きっとまた放送がありますよね。楽しみです(^^
http://www.operadeparis.fr/Saison0607/Spectacle.asp?Id=983
by ヴァラリン (2006-03-17 05:24) 

keyaki

ほんとうですね。偶然集まっちゃったりするんですね。
フレーニとパヴァロッティとも、ミラノ音楽院にカンポガッリアーニ先生のレッスン以来、はじめてだったようです。

>今度のデスピーナは、マクローリンですね(^^! 
そうなんです。バーバラ・ボニーは降りちゃったみたいで、6月のウィーンでの公演もマクローリンの変わってるんですよ。
by keyaki (2006-03-17 09:25) 

おさむ

カプッチッリも大尊敬してます。質問ですが 僕はライモンディーを劇場で生で聴いたことがありません 世界1のプリモバスはスピーカーを通さず聴くと他の歌手とはどう優れて聴こえるのでしょうか?CDではどうしてもわからない点もあるのです、DホロストフスキーはCDで聴いて骨格に響いてて生で聴いてもものすごい声量だろうと思ったら実際生では響きが中にこもって遠くまで声が飛んでませんでした、ライモンディーは横隔膜をフルに使った腹の底から客席奥まで地をはい地響きする様な声だと想像していますが、実際どんな感じでしょうか?来日公演のファルスタッフも聴きに行きたいのですがなかなお金が溜まらず・・ 
by おさむ (2006-03-17 13:20) 

keyaki

残念ながら、実は、実演にはほとんど接していません。若い頃は、すごかったらしい、、、ということを伝え聞いているだけなんです。
ライモンディの賢いところは、年齢に応じてレパートリーを変えていってますし、メトのような大きな劇場ではあえてうたわないようにしているようです。
声質からいうと、地響きするようなバスではなくて、とても洗練された繊細さのある声で、声の表現力に富んでいるとおもいます。

来日公演高すぎますものね。ファルスタッフもシングルキャストではないので、ちょっとなにかあるとキャンセルしそうな気配ですので、まだチケット買ってません。
それに、来日公演は劇場が貧弱なのが残念ですよね。
by keyaki (2006-03-17 14:40) 

euridice

カプッチルリつながりでTBします。
by euridice (2006-03-17 17:44) 

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