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ルドルフ・ビング(1)1970年メトデビュー [RR関連]

 R.ライモンディは、1964年オペラ歌手としてデビュー後すぐにマリオ・ラブロカに認められヴェネチアのフェニーチェ座と5年契約を結び、そこで、舞台経験を積むこととなります。コリーネ、プロチダ、グァルディアーノ神父、メフィスト、フィガロ(フィガロの結婚)、ドン・アルフォンソ(ルクレツィア・ボルジア)、アルヴィーゼ、ドン・ジョヴァンニ、モゼ、ティムール、フィエスコ、シルヴァ、ザッカリア、クレオンテ、フィリッポII、とバスのレパートリーを順調に増やし、1968年にはミラノ・スカラ座にもデビューしました。そして、ルドルフ・ビングの目にとまり、1970年シーズンに出演し、しかも開幕公演で歌ったのです。

 1968年に、メトロポロタン歌劇場の総支配人のルドルフ・ビングがイタリアに新人を捜しに来たんですが、僕の歌を聞くなりメトとの契約を申し込んで来たんです。僕はその時非常に忙しかったので、申し出を受けることができませんでした。しかしビングは諦めずに電話・電報攻勢をかけてきました。・・・・・・1970年に空いた時間ができたもので、メトのシーズン開幕公演に行きました。1970年は僕にとって幸運の年でした。ミラノのスカラ座とニューヨークのメトロポリタン歌劇場という世界の二大歌劇場のシーズン開幕で歌うことができたんですから(ライモンディ談)
「スカラ座の名歌手たち」より抜粋

 ここまでは、いつもの情報ですが、雑誌『TIME』のこの時の記事を見つけました。大成功だった様子が伺えます。開幕公演はヴェルディの《エルナーニ》、シッパース指揮、ベルゴンツィ、アロヨ、ミルンズ、ライモンディというキャストでした。


※音声ファイルは、シルヴァのアリア(エルヴィーラが知らない男たちと一緒にいるのにショックを受けて、自分の不幸を嘆くアリア、1970年9月録音)
TIME1970年9月28日号から:
 ニューヨークのメトロポリタンほどイタリアオペラを贅沢に提供するオペラハウスは他にはない。しかし、先週ルドルフ・ビングがやったように、ヴェルディのきわめて初期の作品のひとつであるエルナーニといった作品でメトのどかんとでっかくやるべき新シーズン開幕をするなんてことをあえてできる人は彼をおいてはないにちがいない。16世紀の恋と陰謀の物語であるエルナーニは、活気に満ちて盛り上がるべきところで、ぱあ〜〜っといけずにきーきー車輪がきしんで往生している。音楽的には初期のヴェルディの例に漏れずあまりにもウンパッパ、ウンパッパ過多だ。それが、ビングはこれを大成功させ、彼の職人技の凄さを証明してしまったのだ。

 エルナーニは、大ヴェルディの作品ではないにしても、少なくとも偉大さの予兆を示している。そのオーケストラ部分はドン・カルロとアイーダのスタイルの先触れである。飛翔する元気はつらつの歌がある。ビングはこの為にオールスターキャストを組んだ。歴史上皇帝カルロス5世として知られるカルロにはシェリル・ミルンズ。アメリカ人バリトンのなかで突出した地位を納得させた。まさに至高の優雅な歌唱。多くの権力者を彷彿とさせる声。老シルヴァ役でめざましいメトデビューを果たしたのはルッジェーロ・ライモンディ。28歳のライモンディは生まれながら灰色の髪の極悪人みたいに舞台に大股で踏み出した。ボローニャ出身のライモンディはまだオペラ歴はたったの5年だが、その清澄で銅のような声はすでに若い頃のエツィオ・ピンツァの趣きがある。
 シルヴァほか各々の恋の対象はエルヴィラ役、マルティナ・アロヨだった。彼女の演技は、オペラの水準によってさえも、ひどくつまらなかった。しかし、まるで羽のように軽々とした高音をきかせた。とろけるようなクリーミーな中音域と透明感のある力強さ。これが彼女をメトのもっとも信頼されるプリマドンナのひとりにしている。

 ミルンズとライモンディの陰で全然目立たなかった。だが、シーズン開幕公演は大成功だった。グランドオペラの緊張でぴりぴりした舞台裏で、アロヨの気取らない、ディーヴァ的でない様子はさわやかだ。冷静で、リラックスして、楽しい感じと優しさが入り交じっている。こういうものをいかにして身につけたか、彼女はこう説明する。
.......
以下、アロヨのことが書いてありますので、興味のある方は、こちらでどうぞ。見出しは『ハーレムのイタリア女』
エルナーニ*歌劇♪1983年に再演されたものが、パイオニアからDVDで発売されていますが、今度は、ドイツ・グラモフォンから再発売される予定です。キャストは、ミルンズ、ライモンディは同じですが、指揮がレヴァイン、エルナーニがパヴァロッティ、エルヴィーラがレオーナ・ミッチェルで、プレミエより、更にウンパッパが炸裂していて、パァーーと実に華やかです。

ライブCD:ヴェルディ:エルナーニ
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コメント 4

なつ

私は、ルドルフ・ビングの名前に、歴史上の偉人のようなイメージを抱いていたので、数年前に新聞で死亡記事を読んで驚いた覚えがあります。
新しい声を発掘すべく張ったアンテナ、決断力の速さ、粘り強い出演交渉…支配人かくあるべし、でしょうね。
by なつ (2007-04-11 18:58) 

euridice

パヴァロッティ@エルナーニの映像はまずは輸入ビデオで見ましたが、まだオペラ事始め時代だったのに、楽しめました。まあ、最初はミッチェル@エルヴィラが雨蛙に見えちゃいましたけど・・・ライモンディ@シルヴァがびら〜〜と剣を抜いて、♪大牧場は緑♪を歌うところとか、強気一転王様の前に跪いちゃうところとか、カルロ5世が大声で陰謀を企ててる連中の前にいきなり登場とか、とにかくかっこいいです。
by euridice (2007-04-12 08:02) 

keyaki

なつさん、今、こういうタイプの支配人はいるんでしょうか。
エイジェントも、ライモンディが若い頃は、その歌手の成長に役立つような契約をとってきてくれるような、名エイジェントがいたそうです。
今は、そうは思えませんが、ビングが支配人だった頃は、メトに出演することは、スカラと並んで、歌手のステイタスだったようですね。ドルが強い時代だったことも関係があるようですけど。
by keyaki (2007-04-13 00:46) 

keyaki

euridiceさん、
1970年の録音も手に入れることができましたので、音声ファイルをアップしましたが、アリアの後の調子のいいところが半分しかないので、1983年の方が、かっこいいですよね。
by keyaki (2007-04-13 01:08) 

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