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2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は... [椿姫]

 2007年ミラノ・スカラ座のゲオルギュー主演の《椿姫》のDVDが発売されるそうです。ゲオルギューのヴィオレッタといえば、1994年のショルティ指揮のが有名ですし、スカラ座の《椿姫》といえば、マリア・カラス以来、カラヤン指揮、ゼッフィレッリ演出でフレーニにが挑戦しましたが失敗に終わり、その後、1990年ムーティ指揮、リリアナ・カヴァーニ演出でファブリッツィーニとアラーニャのコンビで上演、これはDVDで発売されています。そして、2007年、同じリリアナ・カヴァーニ演出で、ゲオルギューとヴァルガスの《椿姫》....これがDVDで発売ということです。この公演、アルフレードがヴァルガスからヨナス・カウフマンに代わると言う噂があったんですが、《ジャンニ・スキッキ》の交代劇のように、うまくいかなかったようです。

 さて、このスカラ座公演の直前にゲオルギューはローマ歌劇場でも《椿姫》を歌っています。これはゼッフィレッリ演出でアラーニャがアルフレードを歌うことになっていましたが、2006年12月のスカラ座の開幕公演、シャイー指揮、ゼッフィレッリ演出の《アイーダ》でアラーニャの舞台放棄事件が起こり、同じゼッフィレッリ演出でしたから、ローマ歌劇場には出演するのかしないのかと話題になりました。私も 『アラーニャ、スカラ座途中退場事件その後』でそのことを取り上げましたが、よくよく見ると、なんと第三のアルフレード役にヴィットリオ・グリゴーロの名前があります。しかし、その後、どうなったのかは、調べもしなかったのですが、最終的に、アラーニャの代わりにヴィットリオ・グリゴーロが歌ったんです。三番目だったのがプリモに....

 今は、グリゴーロが関係しているとなる興味津々、どういう経緯があったのか調査開始...なんですが、これが、まあ、いろいろあってなかなか面白いので、ざっと経緯をまとめてみます。

 2006年12月23日に、ローマ歌劇場は、《椿姫》を4月20日から全10公演上演することを発表。ゼッフィレッリ演出で、ゲオルギューとアラーニャの組み合わせが目玉の公演です。
★シーズン発表時のキャスト:
ヴィオレッタ:アンジェラ・ゲオルギュー/Alexia Vurgaridu/アンナ・リタ・タリエント
アルフレード:ロベルト・アラーニャ/ジュセッペ・フィリアノーティ/ヴィットリオ・グリゴーロ
パパ・ジェルモン:レナート・ブルゾン/パオロ・コーニ/ダリオ・ソラーリ

 この発表で、グリゴーロのファンフォーラムでもいつ彼が歌うのかと騒いでいました。すると、1月8日に年頭のご挨拶を兼ねて「今のところ僕もわかりません.....」とご本人からメッセージ。それでも、チケット発売後、すぐに完売になったとか。ゼッフィレッリ効果でしょうか。
 そんな中、2007年2月25日付けのCorriere della Seraに、『アラーニャ《アイーダ》事件のあとローマでの《椿姫》もないことに』という記事。アラーニャが、諸般の事情でゲオルギューと同じに2公演しか出演できないと表明したところ、ゼッフィレッリが「腕時計をしているテノールに用はない!」とお冠。結局アラーニャは降板することになり、2番手だったフィリアノーティが浮上したのです。
 ところが、今度はフィリアノーティが本物の病気(腹膜炎)で入院してしまいます。残るはグリゴーロだけ。このことが発表されたのは4月12日ですが、その時にはすでに、ルーマニア出身のMarius Brenciuとメキシコ出身のAlfredo Portillaの二人のテノールが補充されていました。更に、ヴィオレッタのAlexia Vurgariduも降板して、Irina Lungu とMyrtò Papatanasiu が加わり、4人のヴィオレッタと3人のアルフレードとなったのです。

 しかし、いまだに歌手たちの日程が発表されません。決まっているのはのはゲオルギューが初日に歌うことだけ。後日、インタビューでグリゴーロが話していますが、自分が多分初日を歌うとは思っていたが、ゼッフィレッリの自宅で、4人のヴィオレッタ相手にリハーサル、ゲオルギューは自分も含め3人のアルフレードとリハーサルという、いったい自分がいつ歌うのか全くわからない状態で、不安になってきたそうです。そこで、ゼッフィレッリに直接尋ねたところ「この《椿姫》は、すべてが初日なんだから、心配しないように...」とはぐらかされたとか。グリゴーロが言うには、自分が知りたかったのは、自分が歌う「初日」のことで、歌手は、心理的、精神的な準備も必要なので、いつ歌うのか知っていなければならないということなのです。

 『ヴィオレッタのためのタイトルマッチは、ヴィットリオ・グリゴーロが勝ち抜いた』4月15日に、やっと、ゲオルギューの相手役はグリゴーロに決定、下記のように日程が発表されました。
★全キャスト日程:2007年4月20,21,22,24,26,27,28,29日 5月2,3日全10公演
ヴィオレッタ:Angela Gheorghiu (20, 24) /Irina Lungu (21, 29) /
Myrtò Papatanasiu (22, 26, 28, 3)/Anna Rita Taliento (27, 2)
アルフレード:Vittorio Grigolo (20, 22, 24, 27) /Marius Brenciu (21, 26, 28, 2)/Alfredo Portilla (29, 3)
パパ・ジェルモン:Renato Bruson (20, 22, 24, 28) /Dario Solari (21, 26, 2) /Paolo Coni (27, 29, 3)

 以上が第三のアルフレードだったヴィットリオ・グリゴーロが第一のアルフレードになった経緯です。
★この公演は、イタリア国内の22の映画館でMicrocinemaと共同で上映されたようです。

 余談ですが、まだ、続きがあります。ゲオルギューが24日の公演を体調不良を理由に1幕で降板したのです。代役はIrina Lungu。これは初日に、「プロヴァンスの海と陸」に観客から" bis!"がかかり、ブルゾンに人気が集中したからだ....なんて言われてます....

 グリゴーロは、2006年バルセロのクーラ主演の《オテロ》にカッシオ役で出演して以来のオペラ出演、国内では、2005年5月のローマ歌劇場の《コジ・ファン・トゥッテ》以来で、しかもアルフレードは初役。イタリアのオペラフォーラムでも誰それ?状態でした。2006年3月以降は、イギリス、オーストラリア、アメリカでのポップツァーで忙しく飛び回っていて、オペラから遠ざかっていました。グリゴーロがゲオルギューの相手役に決まったという紹介、インタビュー記事でも「外国で活躍...」なんて書かれてます。両立は大変ですね。

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コメント 8

サンフランシスコ人

ローマ歌劇場には、ムーティは時々出演するのでしょうか。

by サンフランシスコ人 (2008-08-21 05:14) 

keyaki

サンフランシスコ人さん
私には、即答できない難しい質問です。もちろん若い頃は時々出ていたと思います。最近はどうなんでしょう。調べてみました。
12月にオテロを振ることになっていますよ。
「時々出演する」というよりは、「たまに出演する」と言うことだと思います。
http://www.operaroma.it/stagione/cartellone_2008/otello
by keyaki (2008-08-21 09:18) 

サンフランシスコ人

若い頃、フィラデルフィアでヴェルディの歌劇(コンサート)を指揮しています。

by サンフランシスコ人 (2008-08-22 05:50) 

Madokakip

おもしろいですねー。

中でも私は、ゼッフィレッリの一喝、「腕時計をしているテノールに用はない!」にしびれました(笑)。

しかし、こういった舞台裏が結局キャスティングを含む表舞台におおいに関係しますよね。
たとえば、これから先、どんなにメトがゲオルギューとアラーニャを『椿姫』や『ラ・ボエーム』で
共演させたい!と思ったとしても、
ゼッフィレッリのプロダクションと本人が健在な限り、実現することはないでしょう。
「腕時計をしているテノール」なだけに、、。

なので、どこかで誰かと衝突したというたった一つの事件が、
後々、世界中の歌劇場で歌っていくときにも、インパクトを受けるということですね。
本当、つくづく、大変な仕事です、、。




by Madokakip (2008-08-22 12:32) 

keyaki

サンフランシスコ人さん
調べてみましたが、ムーティは若い頃、フィラデルフィアの首席客演指揮者だったことがあるので、その頃のことでしょうね。
by keyaki (2008-08-23 11:08) 

keyaki

Madokakipさん
この公演は、グリゴーロが話していますが、ゼッフィレッリは自分の大邸宅にみんなを集めて、まず、デュマの原作の講義をしてから、今回の演出についてそれぞれに人物の性格等を、詳細に解説、リハーサルにも非常に時間をかけたようです。グリゴーロが4人のヴィオレッタの相手をさせられたが、我ながら自分は凄い...と思ったなんて言ってますもの。出演が2公演だけはともかく、リハーサルに参加できなさそうので、降りてもらったということかもしれません。ゲオルギューは2公演だけでもリハーサルにはまじめに参加したんでしょう、次のスカラ座公演の役にも立ちますし。

オペラの世界って特に狭いですから、なにかあると波紋が広がっていくようですね。

ゼッフィレッリ演出ということで、チケットは完売だったそうですから、恐るべしゼッフィレッリですよね。最近の奇抜な演出が、集客に貢献しているとは思えませんね。観客のオペラ離れを加速させているだけかもしれません。
新国のゼッフィレッリ演出・装置・衣裳の《アイーダ》は、世界一だそうですが、再演でも、人気があって、チケットがとりにくいんですよ。私も再々演でやっと見られました。
by keyaki (2008-08-23 11:30) 

Sasha

いやー、keyakiさん、いつもながらよく調べましたですねー。読みごたえ十分です。
グリゴーロ君、前にもどなたかがおっしゃっておられたと思うのですが、ちょっと見、特に横顔かな、がクーラを思わせますね。トップの写真、ゲオルギューに、あれれ、ホセ? いやそれはありえん、と自問自答してしまいました。^^ つまり、よく響くお顔ってことかな。顔は歌手のスピーカーですもんね。
by Sasha (2008-08-24 01:27) 

keyaki

Sashaさん、お久しぶり〜なんだかますます忙しくなるのでは.....

>よく響くお顔ってことかな
モデル並のスタイルって言われているようですから、お顔は小さめなので、将来もオテロは無理かと....(笑
枠?型?にはまらないテノール歌手と自分で言ってますので、そのへんはクーラと相通じるところがありますし、ライモンディともチャレンジ精神旺盛なところは同じですよね。

この椿姫の前が2005年の《コジ》なんですが、2年間舞台から離れていると、あの人は誰?状態になっちゃうんですね。新聞にまで、イタリアでは知られていないが、外国では有名なんて書かれちゃうし、彼がまだボーイソプラノの時にパヴァロッティーノという名前をつけたのはメディアなのに......去る者日々にうとしですかねぇ。
アルバムもなぜかイタリア国内では発売してないからますますそういうことになるわけですけど、まあ、ジャンルが違うと関係ないってことかもしれません。
日本でもスカラ座のウェストサイドで来日していて、彼のトニーは、素晴しかったそうですが、全然知りませんでした。ミュージカルだからクラシック系の情報を発信する立場にある人たちが無視してたってことですよね。

このローマの椿姫の舞台裏は、メディアでも話題になっていて、その都度記事が出ていますし、アーカイヴで見られるというのが便利、グリゴーロ君に決まった時は、「優勝おめでとうございます。今のお気持ちは...」みたいなインタビューをしてますから、やっぱり、イタリアではオペラ歌手は特別扱いなんでしょうね。
by keyaki (2008-08-24 08:38) 

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