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新国《トーキョーリング・ラインの黄金》2009.3.13 [オペラ生舞台鑑賞記録]

 2001年からはじまったキース・ウォーナー演出「トーキョー・リング」は、2004年に完結して、今年から第2周目がじまりました。2001年当時は、私は、まだ新国で定期的にオペラ鑑賞をしていませんでしたので、この「トーキョー・リング」は、2002年の《ワルキューレ》からしか見ていません。従って《ラインの黄金》ははじめてです。
 休憩無しの一気上演で、会場ではさかんに「休憩はありません...」という放送が流されていましたので、いつもは休憩時間に..なんですが、ホワイエでコーヒーを飲んで席に着きました。
 開演時間になっても指揮者が出て来ません。遅刻かしら....と思って、オーケストラピットを覗くと、もう指揮者が座っていました。(最前列だったので立たないと見えない) 指揮者登場の拍手も指揮者の観客にご挨拶の拍手も無いまま音楽がはじまるのがワーグナーだったかしら.......

 キース・ウォーナーの「トーキョー・リング」は、現代に読み替えで、ヴォータンは、自己資金なしに自社ビル・ワルハラを建ててしまうというエゴイストの若手経営者といったところだそうです。ということで、黄金を奪われてホームレスとなったラインの娘たちが、外資系スーパーにあるような大きなカートを押して、舞台を横切ったりするわけです。なんか、このホームレス状態の「ラインの娘」が、今の世相を反映している感じがして、身につまされました。
 《ラインの黄金》は、歌唱的にも全体的に良ければいいというか、ヴォータン、アルベリヒ、ローゲが重要な役だそうですが、あんたが主役....みたいなのがいないんですよね....皆、重要ってことかな....で、全体的に良かったです。
 巨人の兄弟の妻屋さんと長谷川さんは、本当はぜんぜん似てないのに、見た目がそっくりで、本当に巨人でした。フリッカのエレナ・ツィトコーワは、相変わらず美人さんで、グレーのスーツも似合ってました。ユルゲン・リンは、ヴォータンでもいいようなりっぱなアルベリヒでした。実際に小人に見えるアルベリヒっているのかしら。低声歌手は一般的に体格がいいのが相場ですから。ドンナーが、最後の最後にいかづちを振り回し、雷を起こし場面が一転して、ヴァルハラ・ビルの大広間に招待客の神々が登場.....そして、4月には《ワルキューレ》と続きます。
 今回、一番印象的だったのが指揮者のダン・エッティンガーの頭!。新国ではお馴染みの指揮者なんですが、金髪のツンツンヘアー(スプレーで固めたWNOのグリゴーロ君のジェンナーロみたい)で、イメージチェンジをはかったようで、ずいぶん若く可愛らしく見えました。
(2009.3.13金曜日、最前列で鑑賞)

ダン・エッティンガー Dan Ettinger プロフィール

楽劇「ニーべルングの指環」序夜《ラインの黄金》 【作曲/台本】リヒャルト・ワーグナー
【指 揮】ダン・エッティンガー
 初演スタッフ:
  【演 出】キース・ウォーナー
  【装置・衣裳】デヴィッド・フィールディング     
  【照 明】ヴォルフガング・ゲッベル
【芸術監督】若杉 弘

キャスト
【ヴォータン】ユッカ・ラジライネン
【ドンナー】稲垣俊也
【フロー】永田峰雄
【ローゲ】トーマス・ズンネガルド
【ファーゾルト】長谷川顯
【ファフナー】妻屋秀和
【アルベリヒ】ユルゲン・リン
【ミーメ】高橋 淳
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ
【フライア】蔵野蘭子
【エルダ】シモーネ・シュレーダー
【ヴォークリンデ】平井香織
【ヴェルグンデ】池田香織
【フロスヒルデ】大林智子
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ettinger1.jpg
↑今まで

↓今回:「星の王子さま」風ツンツンヘア
ettinger2.jpg
この写真よりもっとツンツンしていて、
とてもお似合いでした。

新国HP掲載の主要キャストのプロフィールを転載
★ヴォータン:ユッカ・ラジライネン  Wotan :Jukka Rasilainen
2003年『ジークフリート』さすらい人に続き、新国立劇場2回目の登場。フィンランド生まれ。ローマとヘルシンキのシベリウス・アカデミーに学ぶ。これまでにウィーン国立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン・ゼンパー・オペラ)、英国ロイヤルオペラ、ローマ歌劇場などで歌っている。『さまよえるオランダ人』タイトルロール、『トリスタンとイゾルデ』クルヴェナール、『ラインの黄金』『ワルキューレ』ヴォータン、『ジークフリート』さすらい人、『ローエングリン』テルラムントなどワーグナーを得意とし、『パルジファル』ではプラシド・ドミンゴと共演し、05年には『さまよえるオランダ人』でバイロイト音楽祭にデビューしている。ほかにも『トスカ』スカルピア、『フィガロの結婚』フィガロ、『オテロ』イアーゴなど幅広いレパートリーを誇る。

★アルベリヒ:ユルゲン・リン  Alberich :Jürgen Linn
ドイツ生まれ。マンハイム音楽大学で学んだ後、カイザースラウテルンとニュルンベルク州立歌劇場のメンバーとして活躍。ストラスブール、ボローニャ、パレルモ、ローマ、ヴェローナ、ミラノなどで国際的なキャリアを積む。『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ハンス・ザックス、『パルジファル』アンフォルタス、『ジークフリート』さすらい人、『ラインの黄金』アルベリヒ、『神々の黄昏』グンター、『さまよえるオランダ人』タイトルロール、『トリスタンとイゾルデ』クルヴェナール、『ラインの黄金』ヴォータン、といったワーグナーのレパートリーのほか、『エレクトラ』オレスト、『サロメ』ヨハナーン、『トスカ』スカルピア、『ヴォツェック』タイトルロールなどを歌っている。新国立劇場初登場。

★フリッカ:エレナ・ツィトコーワ  Fricka : Elena Zhidkova
2003 年『フィガロの結婚』ケルビーノ、04年『カルメン』タイトルロール、06年『コジ・ファン・トゥッテ』ドラベッラ、『こうもり』オルロフスキー公爵07年『ばらの騎士』オクタヴィアン、新国立劇場開場10周年記念ガラコンサートと、新国立劇場には多数出演している。 ロシア生まれ。1996年にハンブルク州立歌劇場の国際オペラ・スタジオのメンバーになり、1年後にゲッツ・フリードリヒに見出され、ベルリン・ドイツ・オペラのアンサンブル・メンバーとなる。以来、フランクフルト歌劇場、パリ・シャトレ座、ライプツィヒ歌劇場、アムステルダム歌劇場など各地に招かれるようになる。01年にバイロイト音楽祭にシュヴェルトライテでデビュー。02年、03年と続けて出演し、シュヴェルトライテとロスヒルデを歌う。「カーチャ・カバノヴァー」ヴァルヴァラでミラノ・スカラ座にデビュー。『トリスタンとイゾルデ』ブランゲーネ、『タンホイザー』ヴェーヌス、『エウゲニ・オネーギン』オルガ、『リゴレット』マッダレーナ、『コジ・ファン・トゥッテ』ドラベッラ、『ばらの騎士』オクタヴィアン、『カルメン』『アルジェのイタリア女』など幅広いレパートリーを誇る。
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コメント 4

euridice

ワルキューレを見たの、ついこないだのような気がしてました。月日のたつのは・・ですね!TB、ドルトムントのラインの黄金のほうをしてしまいましたので、あわてて新国のもしました。ドルトムントのほうのスライドショー「ドンナーが、最後の最後にいかづちを振り回し、雷を起こし」からフィナーレまでがBGMになってますので、よろしければどうぞ・・ということで^^+

>ホームレス状態の「ラインの娘」が、今の世相を反映している感じがして、身につまされました。
ラインの乙女たち、ホームレスになる・・は残念ながら8年前よりも時代に即してしまいましたね〜 ラインの乙女たちのように、いつか黄金が取り戻せるといいのですけど・・ 
by euridice (2009-03-30 18:28) 

keyaki

euridiceさん
ありがとうございます。
再演が8年後って....でもワルキューレは来月なんですよね。

by keyaki (2009-03-31 15:21) 

助六

keyakiさんブログのお陰で、「『トーキョー・リング』の再演が始まったんだ」というのはアタマの片隅にあったんですが、一時帰国で所用が一通り片付いて新国サイト見たら、「ヴァルキューレ」が公演中じゃないですか。私も初めてファミマの端末を操作し、初台に出掛けてみました。新国に入ったのは99年秋の「マノン・レスコー」以来ですから10年振りでした。

個人的印象を一言で言えば、独中劇場の上級レヴェル上演の感じで、楽しめました。
オケ・演出はケルン・フランクフルト辺りの良いときのレベルでしょうし、主役級歌手は大劇場でも歌ってる人たちだけど、格別の出来の人は一人もおらず、でもケルンなどでいつもこのメンバーが揃う訳ではないはないというところでしょうかね。

欧州劇場のピットのオケは技術的には決して優秀とは言い難いところが多いから、東フィルの演奏は総体的に立派なものと思います。金管が弱いという日本のオケの弱点は今も変わってないんですね。でも3幕はさすがにその金管も健闘してました。前半は抑えてたのかな。
開演前随分前から楽員さんがピットに揃って、難しいパッセージを熱心にさらったりしてる様は欧州劇場ではあまり見ないもので、ルーティンに陥らないモーティヴェーションの高さは劇場で弾く日本のオケの大きな美質ですね。

エッティッンガーの指揮は、バレンボイムみたいな粘っこさが無いのは個人的には歓迎、ちょっと個性的なテンポの緩め方を含め、ヴァーグナー音楽の呼吸論理は過不足なく捉えられてますし、声の扱いも手馴れた感じで、可もないけど不可も皆無の職人的に堅実な仕事で好感持てました。

ラジライネンは、ヴォータン歌う声と威厳はかなり不足。05年のシャトレ指環上演からあまり進歩ない感。

ジークリンデのセラフィンは高音がシステマティックにきつく、音色も単調で情緒的高揚ももう一つ。ステメほどのヴィブラートがないのは結構なんですが、アルトマイヤーやヴァラディのレヴェルはまだまだ遠い。

ジークムントのテノールは、音色もフレージングもまるで平板で誰かなと名前見たら、ヴォトリッヒでやや意外と言うか、思い返してみると、でも感心したことはない歌い手さん。バイロイトにも出てますけどねぇ。

ツィトコーワも名前見ずに聞いたんですが、第一声から「うわぁ、スラヴ声」と内心呟いてしまう位で、発声とディクションはドイツものでも違和感が結構強い。でも歌い回しそのものの表現性と内容感は説得的ですね。美人さんだし、昨年5月のスカラのシュタイン演出のバルトーク「青ひげ」のユーディットはチラリと披露した裸に加え歌・声も大変好評だったと聞いてます。

ブリュンヒルデのネーメットは「ホヨトーホ」の高音は軒並みアウトでしたが、これは小生の経験では実演でまともに聞こえた例は皆無ですしとやかく言う気はありません。パワーはない代わり、リリカルでニュアンスと情感あるブリュンヒルデで、個人的には結構気に入りました。演出の方向にも添っているかも知れません。

フンディングのリドルは「タイは未だ腐らず」。

ウォーナーの演出は、「ヴァルキューレ」は02年プレミエというから、もう少し古くなったし(彼はその後コヴェント・ガーデンでもう一度やり直してますよね)、膝を叩くようなアイデアやイメージは皆無。もちろん四部作全部見なければ最終的判断は下せませんけど、正直言って大体見当ついてしまった印象。

① 場当たり的現代化 (2幕のガラクタ置き場みたいな神域はどこかで見た記憶あり。3幕の病棟仕立てヴァルキューレ岩は誰でも思いつきそうだけど(実際フリードリッヒ演出は同方向)、愉快なアイデアではある)
② 尻切れトンボで散発的に、意図的・非意図的に脈絡なく提示されるドラマ解釈モティーフ (常套の「槍=男性象徴」、ブリュンヒルデの児戯と変貌、家族アルバムをヴィデオ撮影するヴォータン)
③ それら全体がポップ調の色彩感含め、強いエンターテイメント性に覆われて提出される
と来れば、これはもう英国オペラ演出スクールの常套手段ですわな。

こうした諸要素は演出家が抱く東京のイメージによってさらに増幅されたのかも知れません。

作品の見落としてた部分に気付かせてくれるような秀逸演出とは思いませんが、思い浮かぶ近年の指環演出、例えばシャトレ=チューリッヒのウィルソン演出、エクス=ザルツ復活祭のブラウンシュヴァイク演出、ヴィーンのベヒトルフ演出なんかよりははるかに面白く、考えるきっかけを与えてくれる材料も含んだものではありました。

今回はゆっくり劇場を見物できました。小生は席入り口扉を探してウロウロ、バーの行列に一瞬戸惑ったりとかまるでオノボリさんの体でした。

前もコメントさせて頂いたような気がするんですが、音響は私が足を踏み入れたあらゆる欧米劇場のそれを凌駕しているという印象は前回入った時と全く変わりありません。オケも声も細部のニュアンスに至るまで明快に分離して聞こえ、全体としての響きも美しい。ここで聞き続けてれば耳は良くなりそうな。

ホワイエの構造と、ガラス壁を通した外部空間との交流はアムステルダムの劇場(バーデン・バーデンの祝祭劇場やザルツ祝祭小劇場改築も担当したホルツバウアーの設計)と良く似た発想ですね。
ロビーの作りはドイツの戦後建設劇場に近い感じ。
池のあるパティオを組み込んでギャラリーを付けるというアイデアは他劇場では見たことがなく、幕間は暮れなずむ東京の春空を楽しめ、突き抜けるビル、どこからか紛れ込んだ桜の花びら一つが摩訶不思議な瞬間を創り出してました。私にも「ヴァルキューレ」の上演は様々な場所の記憶と結び付いてますけど、今回の東京上演も記憶に残る夕べになりそうです。
劇場の魅惑は欠けていない空間と思いました。

客席は仏伊より静かなのはもちろんですが、多少の咳払いも出てて、昔は日本のヴァーグナー上演と言うともっと殺気立った静けさだったような気もするんですが、私の思い違いかも知れません。

全体として欧州中劇場でもいつでも聞け見れるわけではない、大劇場でもこれより冴えない上演はある優れた上演レヴェルとは思いましたし、個人的にはセラフィンとツィトコーワを初めて聴けたのはありがたく、楽しいひと時を過ごせたんですが、値段はやっぱり超一流過ぎますなぁ。
by 助六 (2009-04-12 22:57) 

keyaki

助六さんから、トーキョー・リングのワルキューレの感想がきけるとは...嬉しいです。私は、来週です。

>値段はやっぱり超一流過ぎ
再演だと安くなるはずなのに、初演の時よりS席とA席は、3千円に値上げしてますね。なぜかしら.....
私の場合は、けっこういろいろ割引を利用してますので.....S席を確保してますが、2万円切ってますけど....

初演の時は、ジークムントが、ロバート・ディーン・スミスで、ヴェ〜ルゼがものすごく長かったとか、マッキンタイアがヴォータンではなくて品のいいフンディングだったとか....演出は、あの矢印はなんだ? 海外ドラマERじゃないの...とかでよくわかりませんでしたが、5時間たいくつはしなかった......です。

>フンディングのリドルは「タイは未だ腐らず」
リドルは私も楽しみにしています。ウィーンでライモンディがドタキャンすると代役で歌ったたり、脇役での共演もありますし。主役から脇役までこなしてますが、でも「タイ」だったことがあるかどうかはちょっと疑問ですけど....

>ヴォトリッヒ
ワーグナーの孫娘?のなんかだそうで、歌に関してはあまり良い評判をききませんが.....

なにはともあれ、5時間、楽しみです。

by keyaki (2009-04-13 13:20) 

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